４割を６割に独自の受精卵移植器で

 　肉牛繁殖の課題となっている雌牛の受胎率を高めるため、県は新年度から、独自開発した受精卵の移植器の普及に乗り出す。優良品種は種付け費用も高額になるため、１回の種付けで受胎に成功するかどうかは畜産農家にとって死活問題。飼料価格の高騰でも苦しんでいるだけに、子牛の繁殖にかかるコストを軽減することで、経営を支援するのが狙いだ。

　県は、県農業研究センター畜産研究所が開発した受精卵移植器を１０台購入し、モデル地区の農家に無料で貸し出す。県の専門員が使用法などについて技術指導し、その効果を検証する。県は関連事業費として約１８０万円を新年度予算案に盛り込んだ。

　初年度のモデル地区には、全農県本部の受精卵供給センターが今春にも試験稼働する滝沢村が指定される見込み。その後は、希望に応じて実施地域を拡大していく。

　従来の受精卵移植は、プラスチック製の管を用いて挿入していたが、管の先で雌牛の子宮内膜を傷つけないようにするには熟練した腕が必要だった。また、子宮の入り口が堅く締まっている場合には、別の棒状器具で内膜を押し広げなくてはならず、その際の傷で感染症になるケースもあった。

　新開発の移植器は、ストロー状の管に注入した受精卵を、注射器のように子宮内へ押し込む構造。ストロー管は、ステンレス製のカバーで覆われ、先端が丸くなっていて内膜を傷つけないよう工夫されている。県畜産課は「カバーが内膜を無理なく押し広げて、比較的容易に管を挿入できる」と効果を説明する。

　県内では、受精卵の移植実績が年間で２５５０頭（２００４年度）に上り、全国４位。しかし、受胎率はここ数年、４０％台で推移している。移植費用は１回につき４〜７万円。受胎に失敗しても費用は戻らず、コストだけが重くのしかかる。

　県は新型移植器の普及によって、２０１０年度末までに受胎率を６０％まで引き上げることを目指す。畜産研究所の実証実験では、新型移植器で受精卵を移植した雌牛１９頭のうち１４頭が受胎し、成功率は７割を超えた。消毒して繰り返し使うこともでき、県は特許を申請中だ。
