　皮膚から様々な臓器や組織の細胞に変化できる新型万能細胞（ｉＰＳ細胞）を作った京都大学の山中伸弥教授らの研究グループが、マウスの肝臓や胃の細胞からもｉＰＳ細胞を作ることに成功した。

　従来のｉＰＳ細胞よりがん化しにくく、体の色々な細胞からより安全なｉＰＳ細胞を作れる可能性が広がった。臨床応用に向け、さらに一歩前進した。１５日の米科学誌サイエンスに発表する。

　山中教授らは、ウイルスを運び役にしてがん遺伝子を含む４個の遺伝子を、人やマウスの皮膚に組み込んでｉＰＳ細胞を作った。しかし、マウスのｉＰＳ細胞を使った実験では、３割にがんができた。その後、がん遺伝子を含まない方法でマウスのｉＰＳ細胞の作製にも成功したが、さらに安全な細胞の作製研究を進めてきた。

　皮膚の代わりとなる細胞として、人でも比較的採取しやすい肝臓と胃に注目。４個の遺伝子を導入する方法でｉＰＳ細胞を作ることに成功した。皮膚とは違い、肝臓や胃の細胞で作ったｉＰＳ細胞からは、がんはできなかった。３遺伝子でも作ることができた。

　遺伝子の導入に使うウイルスは細胞の核内にある染色体を傷つけてがん化の引き金になる恐れがある。肝臓や胃の細胞では、染色体に入り込むウイルスの数が、皮膚の５〜１０分の１にとどまっており、ダメージが少ないため、がん化しないらしい。山中教授は「肝臓や胃でも内視鏡などで細胞を採取でき、臨床応用は可能。さらに良い方法を探っていきたい」としている。

　理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの西川伸一・副センター長は、「どんな組織からでもｉＰＳ細胞ができることがわかった。様々な細胞を調べれば、これまで以上に安全で効率よくｉＰＳ細胞を作れるだろう」と話している。
